ロルフィング®︎とは

 

積み上げられた石が崩れないのは重力の軸に沿っているから。少しでも軸から外れれば、倒れてしまいます。人も重力の軸から外れていれば、本当は倒れてしまいます。でも私たち人間はそうそう倒れるわけにいきませんね。だから崩れたバランスを補い身体を保持しながら生活を送っています。
逆に言えば、軸に沿っていれば、身体は頑張る必要はありません。そして重力に調和し、無駄な力みや負荷のない身体は、可動域や柔軟性も高く、凝りや痛みも出にくいのです。
ロルフィング®︎は解剖学に基づき、動きを使いながら筋膜に働きかけ、重力に調和した身体の使い方を習得するプログラムです。

立っている時だけではなく、例えばピアノを弾いている時でも、身体は演奏する事以外の為に不要な力を使い過ぎているかもしれません。体を支える為の力みは、足や骨盤などの土台をうまく使い、重力に調和することで最小限に抑えられます。必要以上に力んでしまっていたり、癒着などにより充分に機能できていない筋肉があれば、その癒着を取り除き、調整機能を取り戻すことで、より自由に身体を使うことができ、演奏のパフォーマンスの向上にもつながるでしょう。これはスポーツやダンス、デスク作業から、勉強、ただ歩く、座るなどの生活の様々な場面で当てはまることです。無駄な力みが無く、バランスが取れた身体は、疲れにくく、集中力も高まるでしょう。身につけることで、様々な場面で、身体に優しい使い方ができる様になります。

ここで鍵となるのが筋膜です。
筋膜とは、みかんの薄皮の様に、筋肉や骨、内臓などを包み、仕切り、それぞれを繋げ、体を立体的に保ってくれている膜状の組織です。第二の骨格とも言われ、体の構造を支えるとても重要な組織です。筋膜には、繰り返される同じ動きや姿勢を記憶し固まる様な特徴があります。またケガをしたところは、傷が治った後も、筋膜が守る様に集まって硬くなります。一度筋膜が硬くなると、ストレッチやマッサージだけでは戻すのが困難なことがあります。特に、筋膜は繋がっているため、自分では思わぬところが硬くなっていたり、ひとつの捩れがまた別の捻れを引き起こしていることもよくあります。

テントの帆布の端を引っ張ると、帆布全体がその方向に引っ張られ、骨組みにも負荷がかかり不安定になります。テントの帆布の様に、筋膜の癒着は骨や内臓などの他の組織を含め全身に影響を及ぼします。

解剖学に基づき、この全身のつながりを考慮し、また利用しながら、順序を追って全身を整えていくのがロルフィング®︎です。

その主たる目的は、リラクゼーションや治療ではなく、全体が協調した体で重力に調和することにあります。重力に対してのバランスが整うことで、結果として痛みやコリが解消されたり柔軟性や可動域の向上にもつながります。呼吸の質が上がることや、うまく脱力できる様になることにより、不安や緊張、ストレスが減ったという声も多く聞きます。これはロルフィングによる筋緊張や自律神経系の調整能力の向上が関係していると考えられています。

ロルフィングは、施術を一方的に受けるというよりも、より効率的で楽な身体の使い方を習得するプログラムです。受け手本人が関節を動かしたり、働きかけている部分に意識を向けたりしながら行うことにより、身体感覚を高め、効果を定着させていきます。身につけるから、効果を持続できるのです。

人生の中のこの15時間は、一生使っていく自分の身体をより深く知り、選択肢が増えていくプロセスとなるでしょう。

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